管理組合法人化の8つの論点

先週末、昨年に引き続き所有者住民との懇談会を別荘管理事務所にて開催しましたので、以下ご報告します。 この集会の直前に、管理事務所前に、大きな立て看板を立て 「組合は管理、運営を丸紅に返し、組合を解散し、自治会にすべき。合法的には、この別荘地に団地管理組合は設立できない」 との主張を掲げている3住民が、残念なことに懇談会に乗り込み、大声で自説を繰り返し、結果的に、管理組合の法人化を含めた静かな環境での別荘地を巡る諸問題を議論できずに解散となってしまいました。

理事会としては、住民であればどなたでも参加いただきたいとの趣旨でご案内状を出したにも関わらず、せっかくの情報交換の機会を失ってしまったことを誠に残念に思います。
それでも一部の住民の方々と、今、何が起こっているのかを話し合うことが出来ました。

その結果、すでに配布してある臨時総会の案内状、その中の法人化についての説明が難し過ぎて、理解できず、賛成のための委任状提出までに至っていないとのご意見もありましたので、改めて、「立て看板が主張していること」「管理組合の法人化の目的」をわかりやすくご説明します。

Q1: 法人化した管理組合(団地管理組合法人)というのは、何を「管理」するのですか?管理という表現からは、所有者住民として特に「管理されたくない」という気持ちになりますが…

A1: これは専ら、別荘地内の道路、水道、管理事務所、テニスコート等の共有施設を管理するための組合法人のことで、特段、住民を管理するという意味ではありません。
共有施設は、現在、分譲デベロッパーであった丸紅㈱の名義のままになっており、これは、団地管理組合法人が設立された場合には、名義変更されることになっております。

また、区分所有法の規定として、法人の名称として「団地管理組合法人」の文字を入れることになります。

Q2: 管理組合を法人化すると費用が余計にかかるのでしょうか?また役員に給与等が支払われるのでしょうか?税金はどうなりますか?

A2: 法人以前でも、法人化しても理事は、管理組合は収益事業を行なっていないので、理事会運営規約で定めた活動実費(交通費と4時間以上の組合活動に従事した場合のみ日当として3千円)は支出しますが、当理事会は、ほぼボランティアの最小コストで運営していますし、法人化に伴い方針を変更するつもりもありません。
また団地管理組合法人は、法人税法上公益法人とみなされますので、収益事業(第三者への有料駐車場等)を行なっていなければ、法人税は課税されず、法人住民税の均等割(県民税2万円+市民税5万円)のみです。

共有部分の登記の場合も、団地管理法人としての登記の登記費用がかかるのみです。
また法人の代表理事(理事長)の変更の都度、役員登記変更をする必要があります。

Q3: 管理組合を法人化すると、どのようなメリットがありますか?

A3: 対外的に法人格を取得し、共有部分の登記ができるだけでなく、契約の主体となることができ、信用力もつくので取引の円滑化が図れます。また管理費などの不払い者に対して強制力をもつ運営を可能にします。
水道・道路など隣接する富士観光開発㈱、県や鳴沢村他近隣とも別荘地を代表して交渉することが可能になります。

Q4: 管理組合への加入は強制的ですか、任意ですか?

A4: 建物所有者と土地のみ所有者がおられますが、法人設立の要件は、建物所有者の3/4以上の決議です。
建物所有者は全員加入の正組合員となります。土地のみ所有者は法人設立の要件ではありませんが、法人化への提案では、管理規約により準組合員と規定し、正組合員および準組合員を併せて組合員としています。

Q5: 管理会社にすべておまかせすることはできないのですか?

A5: 当初は、分譲販売した丸紅㈱の関係会社(丸紅コミュニティー㈱)、現在は三菱地所コミュニティ㈱が継承会社となり、管理組合が主体になり有償で業務委託(管理人の雇用も含め)をしています。 当初は、管理員は住込みでしたが、その後の環境変化もあり、現在は、通勤勤務になっています。
管理費の徴収も、管理組合が管理会社にその事務を委託して行なっています。

ただ、自分たちの財産である別荘地の運営を盲目的に無条件で全面的に任せたために財政破綻しそうになった過去の経緯があります。 その反省からいかに自分たちの財産を守るか目を光らせる必要がると考えるようになりました。 管理主体は、あくまで管理組合であり、管理会社は、委託契約によって、その専門性を活かして管理人を雇用し別荘地管理事務を行なっています。 もし、管理組合が存続しなくなれば、委託契約もできなくなり、管理会社も管理委託料の支払いがなければ、管理が不可能となり、別荘は誰も管理されていない状態となり、荒廃することになります。

Q6: 一部の住民の立て看板によれば、「組合は管理、運営を丸紅㈱に返し、組合を解散し、自治会にすべき」と主張していますが、これは可能ですか?

A6: すでに管理会社(丸紅コミュニティー㈱)による管理が行き詰まった結果(未収金問題や水道漏水に伴い経済破綻が明確であった)、2011年に現在の管理組合が結成され、自主管理が始まりました。 これを当初の丸紅㈱へ戻すことは、今更不可能です。 丸紅㈱は、管理会社であった丸紅コミュティー㈱自体も、三菱地所コミュニティ㈱へ営業譲渡しており、当初の分譲デベロッパーであった丸紅に返還し、同時に組合を解散することは、返還交渉する主体自体がなくなることとなり、別荘地の無管理化となり、荒廃を招くのみとなります。

立て看板による自治会の意味は明確ではありませんが、それが賛同者のみの組織であり、全所有者を代表する組織でなければ、交渉当事者として相手にもされません。
我々はむしろ、法律に基づく「団地組合管理法人」として全所有者を代表する法的根拠が明確な組織とすることで、責任をもってこの別荘地を管理していくべきとの立場です。


Q7: 一部の所有者は、管理組合を解散し、(現在は共有地の登記者である)丸紅㈱に圧力をかけるために、固定資産税の不払いを起こせと主張していますが、これは効果的でしょうか?

A7: 建設的な話し合いで解決を探るのではなく、反社会的組織のゴネてタカる手法のように思えます。
共有地の固定資産税は、鳴沢村から登記人である丸紅㈱に請求されていますが、それは、即、営業継承者である三菱地所コミュニティ㈱に送付され、管理組合との契約にもとづき、共有地を実質使用している管理組合が、所有者から集金した管理費の中から固定資産税を負担しています。

これを不払いすることになると、管理組合の契約不履行となり、結果的に共有地が不良債権化し、その利用が不可能になり、別荘地の荒廃を招き、別荘地の価値を著しく毀損することになります。結果それが全所有者の不利益になる可能性が高いと思われます。

Q8: もし鳴沢村に共有地を譲渡すれば、その分の固定資産税の支払いもなくなり、水道やゴミ収集サービスも鳴沢村から供給を受けることになれば、所有者は、各自所有の不動産の固定資産税の負担だけで済み、管理費の支払いも不要となりませんか?

A8: 5年以上前に理事会として公式に村に訪問して共有地の譲渡に伴うインフラなどの村による整備の可能性を相談したことがありますが、その可能性はほぼないという村長の意見でした。 管理費用がかかる別荘地内の共有地を村の譲渡可能かは、極めて難しいと思われます。私道を村道とし、また水道供給範囲を広げることも、村としての政策に関わるので、相当のメリットがなければ、少子高齢化の中で、(県外の住民の多い別荘地のインフラを)村の資産として管理区域拡大をするとは思われません。

また、相続の際など別荘地の場合は、(固定資産税を支払わずに)物納して放棄することも、まず不可能です。 従って、別荘地は、維持可能な状態を長く続けていくしかなく、それがもっとも現実的で最善の選択と言えます。

今回「団地組合法人」として、公平・透明な自主管理と適切な管理会社との連携を通じて、維持可能な別荘地として継続することを、3/4以上の所有者の意思を示したいとしている理由はその点にあります。

以上■