密を避け地方へ:移住を呼び込む好機
(7/9山梨日日新聞の記事から)

  1. 2020/7/9付の山梨日日新聞の記事によれば、都心は感染リスクが高いと考え、県内(山梨県)移住を検討している人が増えているとのこと。また、富士観光開発によると、「4月頃から資料請求の問い合わせが増加し、都心部に住む人が感染症流行時の一時避難先や二地域居住先として購入を検討している」とのこと。さらに、サテライトオフィスの利用に関心のある企業は、「家賃の高い東京にある必要はない」という考えが広がっており、非常時のバックアップ機能を確保するという意味でもサテライトオフィスの需要はあるとの指摘がある。この丸紅富士桜別荘は、都心部からの交通も便利で(高速道路で2時間弱)、自然が豊か、特に夏季は高原なので涼しくて快適。また車での買い物なども広い駐車場があり非常に安心で便利な別世界である。

  2. 現在、東京では、コロナウイルスの蔓延が続いており、いわゆる三密を避け、ソーシャル・ディスタンスを取ることが効果的であり、これが新しい日常をされている。都市への人工集中、特に企業と居住の都市部への集中は、世界的傾向であり、それに伴う土地神話の中で、すべては首都圏中心の経済・社会活動に邁進してきたことに対し、日本は特に顕著であった。実際、三密、即ち、人々との密接な交流は、ビジネスにとって必須条件であり、その効率化の根源であった。人数を制限した飲食やイベントは、単価が同じならば売上は数分の1にもなってしまうか、あるいは価格をその分値上げするというのだろうか?効率的な人集めはビジネス成功の基本であり、それを実現すべく、頻繁なホウレンソウ(報告・連絡・相談)と顧客との緊密な交流、現場重視の緊密な往来による連携、Just-in-timeのように短時間での商流・物流の回転を追求するなど、正に「三密は金なり」をビジネスやそれを支える生活は追求してきた。半導体の集積度の向上が、コンピュータの進化を実現したように、都市の集積度が、ビジネスの効率と進化を支えてきたのである。

  3. しかし、2020年当初から顕在化したコロナウイルス感染拡大によって状況は一変した。そもそもコロナウイルスは、人間による思惑を忖度するようなことはせず、生存戦略として自己増殖の仕組みを繰り返すのみである。これに対抗するには、人間の方でも、持続的な存続を続けるためには、今までのように集中することではない解決策を追求し、分散した環境での自律的な生活を求めることが必要になってくる。人間は、適度な集中と分散環境の中で、自然と共生し、そして必要な時には、ITを使ってリモートアクセスを行うのがこれから新たな日常になってくる。メール交換やオンライン会議だけでなく、読書や音楽などもITによっていつでもアクセス可能な環境はすでに存在している。身体的には、三密を避けながらも、精神的には、古今の作品や知恵に没頭し、探究心を持つことで、リフレッシュすることが出来る。そして、周囲を見渡せば、木々や動物や草花が、ゆっくりとした時間の推移の中に生きていることを実感させてくれる。身体もまた新鮮な空気と水によって内部から浄化してくれ、遠くの山々や星空は、さらに想像力を深めてくれるなど、本来の自然の時間空間のペースを取り戻すことが出来る。当初は、避暑として、また最近ではウイルス感染から避難するために、別荘へ滞在してきたが、実は、別荘には、別の世界や生活があることに改めて気づくことが出来る。別荘での時間の流れが、都会のそれとは違うような気分になる。都会では、結論を求めて忙しく(熟読ではなく)ブラウズして情報集めに奔走することが多かったが、別荘の時間では、晴耕雨読、読書三昧の時間をじっくり思索しながら時間の流れを感じることが出来る。

  4. コロナウイルス問題で、都会ではホームステイを余儀なくされることも多く、外出したくてノイローゼ気味になると言われている。ドイツの諺に「都市の空気は自由にする」とあるが、これは土地に縛られた中世の農奴が都市において自由身分を得られるようになったことの表現であった。今や、ウイルス感染で閉塞状況を迫られる都市住民は、「地方の空気は自由にする」ことを実感できるのである。さあ、もっと地方の空気を吸おう。そして都市での今までの生き方を相対化し、別荘の良さ、別荘ライフをもっとかけがえのないものとして再認識したいと思う。 ここ山梨県は、新しい日常と新しい価値を生み出す土地になり得るのではないか。理事長 小林寛三■